ブラッドパス 吸血鬼とは?

吸血鬼―夜の闇に生きる、妖しくも美しき不老不死の存在。その姿は人とよく似ていますが、人間の血を吸い、病や老いでは死にません。また、非常に強い力や並外れた感覚を有し、魅了や変身、血奏法などの特別な能力を持っています。その反面、太陽の光は致命的な弱点であり、そのほとんどは夜の世界でしか生きられません。

吸血鬼は人間が文明社会を作り始めたころから、世界各地に存在しています。そして知恵と武器を手にした人間と歴史の裏で戦い続けてきました。日本では〝鬼〟と呼ばれ、古くは平安時代の頃から人間と関わりを持っていた記録が残されています。

『ブラッドパス』において、プレイヤーの一部は吸血鬼のキャラクターを介して物語へと体験することになります。ここからは、吸血鬼の誕生やその種類、特殊な力などについて解説してゆきましょう。

目次

吸血鬼の特徴

まずは、吸血鬼の特徴について説明しましょう。

吸血

吸血鬼の象徴とも呼べる特徴が〝吸血〟です。吸血鬼は生命を維持し、力を発揮するために精氣を必要とします。人間が呼吸をするように吸血鬼は世界から精氣を吸収しています。しかし、人間が呼吸だけでは生きていけないように、吸血鬼は生物から血と共に精氣を摂取しなければ、飢えて衰弱してしまいます。そして人間はすべての生物のなかで、もっとも多くの精氣を有しています。そのため、吸血鬼は人間を対象に吸血を行なうのです。

吸血鬼は 1日から2日に1回、ごく少量の吸血で正常な体調を維持できます。また、源祖や貴種は高潔な精神の持ち主から血を吸ったり、あるいは人間から血を捧げられることを【正餐】(せいさん)と呼び、ただしい吸血の作法としていました。その代わり、吸血鬼は人間の集落を陰から守ったり、病を治したり、天候を予測して農業を発展させるという恩恵を与えていたのです。逆に、誰彼構わずに襲って血を啜る行為は卑しく恥ずべき行為でした。そのため、吸血鬼の大半が源祖と貴種だった19世紀ごろまでは、吸血鬼の〝被害者〟はあまり多くはありませんでした。

しかし、吸血鬼の精神の奥底には、常に「血を吸いたい」という衝動が渦巻いています(これを吸血衝動と呼びます)。また、吸血には精神的な充足や幸福感が伴い、ストレスを発散する効果もあります。そのため、極度の空腹感に苛まれたり、何らかの原因により吸血衝動が高まった場合は、たとえ源祖や貴種であっても人間を牙にかけてしまうことはあり得るのです。

ちなみに、吸血を行なうと吸血鬼の力は一時的に上昇します。そのため、吸血鬼が強敵に立ち向かう際には、必ず血を飲んで万全の態勢を整えてから戦いに臨みます。それは人間と【ブラッドパス】を結んだ吸血鬼でも変わりません。

外見

吸血鬼の外見は、人間とほとんど変わりません。しかし、「瞳が紅い」「耳の先が尖っている」という特徴があります。この特徴は源祖や貴種であれば大きく目立ちます。

人間としての要素が濃い夜者半鬼は注意深く観察しなければ分からないほど、目立たないこともあります(個人差はあります)。

感情の欠落

吸血鬼には、何かしらの感情が欠けています。喜び、怒り、憎しみ、哀しみ、憐れみ……どのような感情が欠けているかは、吸血鬼ごとに異なります。源祖や半鬼は生まれつき欠けており、貴種や夜者は吸血鬼となった際に欠落します。

吸血鬼は魂の一部が欠けており、それを埋めたいという本能こそ吸血衝動の正体なのだという説もあります。これが事実かどうかは明らかになっていませんが、【ブラッドパス】を結び人間と精神の一部を共有した吸血鬼は、以前よりも吸血衝動が弱くなることは確かです。

特別な力

吸血鬼に備わっている力について解説しましょう。

身体能力と超感覚

吸血鬼には重い物を簡単に持ち上げられる腕力や、風のように早く移動できる走力など、高い身体能力が備わっています。また、暗闇でも周囲をはっきりと見通す暗視力や、どんな小さな音でも聞き分けられる聴力、わずかな臭いも嗅ぎ分けられる嗅覚など、鋭敏な感覚も備わっています。

もっとも、これらの身体能力や超感覚は個体差が大きく、腕力ひとつとっても「走ってきた車を片手で止められる」者から、「20キロの重りを持ち上げるのがやっと」まで差があります。

血奏法(けっそうほう)

吸血鬼は自身の血液を媒介として、さまざまな現象を引き起こすことができます。吸血鬼はこの力を〝血奏法〟と呼びます。血奏法には、血で武器を作ったり、炎や雷を発生させたり、幻影を映し出したりと多彩な種類があります。

すべての吸血鬼には血奏法を扱う力が備わっていますが、得意とするか不得意とするかは、それぞれの才能によります。

変身・変化

吸血鬼には、自身の肉体を変化させたり、他の動物に変身する力が備わっています。ただし、この能力を使うのが得意かどうかは起源と各吸血鬼の才能によって大きく変わります。源祖や貴種には得意な者が多く、身体を霧にして移動や攻撃の無効化に使ったり、身体の一部を小動物に切り分けて使役することができます。逆に夜者や半鬼は変身や変化を苦手としており、できても爪を鋭く伸ばしたり、皮膚の一部を硬質化させる程度に留まることが多いようです

不死

吸血鬼は基本的に寿命がありません(ただし半鬼だけは寿命がありますが、それで300年程度は生きます)。また、再生速度には個体差がありますが、どんな傷でも時間が経てば蘇ります。

もっとも、いくつかの例外はあります。ひとつは陽の光を直接浴びること。そして特殊な製法で作られた金属の武器で首を斬り落とされるか、心臓を正確に貫かれること。そして業血鬼によって身体の半分以上を損壊させられること。これらは致命傷となり、吸血鬼の身体は完全に灰となってしまいます。

流儀(りゅうぎ)

吸血鬼の長い歴史は、戦いの歴史でもありました。庇護する人間を守るため、逆に人間から身を守るため、あるいは誇りをかけた決闘、不義を働いた同族の始末など、吸血鬼と争いは切っても切れない関係にあります。そのため、吸血鬼たちは戦いの技法を【流儀】として整理しました。【流儀】とは源祖や貴種が作った概念ですが、夜者や半鬼の戦法も分類には当てはまります。そのため、人間からは【流儀】を吸血鬼全般の得意な戦法を表わす概念として用いられています。

弱点

 強い力を持つ吸血鬼ですが、いくつかの弱点があります。

日光

 太陽の光は、吸血鬼にとって致命的な弱点です。吸血鬼は日光を直接浴びると瞬時に身体が燃え上がり、灰になってしまいます。直接浴びない状態でも、太陽が上がっている時間は動きが鈍く、再生能力もかなり低下します。なお、重要なのは〝太陽の光〟ということであり、単なる紫外線では効果がありません。

宗教

人間であった頃に信仰心が強かった者は宗教のシンボルや聖典、聖句などが弱点となります。たとえば欧州で発祥した聖字教会には十字架や聖書、アジアで発祥した仏教には仏具や読経、中国で発展した道教であれば符や呪文、日本の神道であれば祝詞など、宗教ごとに異なるシンボルや聖句などが存在します。

もっとも、これが致命的な弱点となるのは、その宗教を信奉していた者だけで、信奉者でない場合は多少弱らせる程度です。

植物

吸血鬼のなかでも嗅覚に優れた者には、香りの強い植物を嫌う者もいます。特にニンニクは力の弱い夜者や半鬼であれば退けることもできます。もっとも、致命的な弱点にはならず、たとえ口いっぱいに詰め込んでも殺すことはできません。

流れる水

吸血鬼は川や海など流れる水を苦手としています。雨の通り道や人工的な小川などは問題なく跨いだり渡ったりできますが、大きな河や海などを渡る時は激しい目眩や嘔吐感に苛まれます。吸血鬼が流れる水を嫌う理由は定かではありませんが、一説には流れる水は“精氣”が激しく動くため“酔って”しまうのでは、と考えられています。

弱点の克服

ブラッドパスを得た吸血鬼や業血鬼は、日光をはじめとする弱点を克服できます。

なお、小説や映画では「招かれないと家に入れない」、「火や油に弱い」などの弱点もありますが、これらは迷信であり吸血鬼の弱点にはなりません。

吸血鬼の起源

ひとくちに吸血鬼といっても、吸血鬼となった経緯によって特性や能力が異なります。それぞれについて、解説しましょう。

源祖(げんそ)

源祖とは「世界より生まれた吸血鬼」です(海外ではエルダーとも呼ばれます)。より正確に言えば、〝人間の想像力〟を型として自然界の精氣が集まり、実体を持つに至った存在です。人間の文明が未発達であり自然に対する畏敬の念が深かった頃に多く生まれました。原初の吸血鬼であることから〝源祖〟と呼ばれていますが、近代以降もわずかに誕生しています。

源祖もまた他の吸血鬼と同じように吸血衝動を有しています。しかし源祖は自然から精氣を吸収する力が強いため、衝動は比較的弱いようです。

貴種(きしゅ)

貴種とは「自らの意志で吸血鬼となった者」です(海外ではロイヤルとも呼ばれます)。不死の命への憧れや、主と仰ぐ吸血鬼に仕えるため、あるいは学術的な探求心など、動機はさまざまです。貴種となる方法は、まず吸血鬼が人間の血を吸い、その後に自らの手で身体に傷をつけ、流れ出た血を人間が飲むことです。吸血鬼はこれを【血の祝福】と呼んでいます。【血の祝福】を授けられるのは源祖か貴種だけです(夜者や半鬼が同様の儀式を行なっても、人間は死にます)。そして【血の祝福】を与えた者を親、祝福を受け吸血鬼となった者を子と呼び、その連なりを【血族】と称しました。

【血の祝福】を受けた人間は、必ず吸血鬼となります。そのため、源祖や貴種は【血族】に迎え入れる相手を慎重に見定めました。最も重要とされるのは、自制心、慈しみ、愛など、永遠の夜を生きるに相応しい精神的な強さです。しかし、中には見目のよさだけで選ばれた者もおり、後世で夜者が増加する原因のひとつとなりました。

貴種の多くは吸血鬼であることに誇りを持っており、無差別に人間を襲う吸血鬼や業血鬼を忌み嫌います。

夜者(やしゃ)

夜者とは「吸血鬼の犠牲者が吸血鬼化した者」です(海外でナイトウォーカーとも呼ばれます)。吸血鬼が人間から大量の血を吸った場合、犠牲者のほとんどは死亡するか、グールと呼ばれる正気を失った怪物と化します。しかし、数百人にひとりの割合で死なず、怪物にもならず、吸血鬼として蘇る者がいます。この経緯で生まれた吸血鬼を夜者と呼びます。

夜者の多くは、いきなり得た吸血鬼の力に混乱します。翌朝に陽の光を浴びて死んでしまう者も珍しくはありません。そして自分が人間とは異なる存在になったことを自覚した夜者は、欲望の赴くままに人間を襲うか、人間との関わりを避けて生きてゆくかを選ぶこととなります。ただし、現代社会において、吸血鬼である証拠を完全に隠してゆくことは非常に困難です。そのため、人間の対鬼組織に殺されたり捕らえられることもあります。

夜者には身体能力が高く感覚が鋭い者が多く存在します。その代わり吸血衝動は強く、吸血していない期間が長いと強い飢餓感に苛まれます。

半鬼(はんき)

半鬼とは「吸血鬼と人間の間に生まれた子供」です(海外ではダンピールとも呼ばれます)。また、妊娠中の母親が吸血鬼に血を吸われたことで、半鬼として生まれてくる者もいます。

半分は人間であるため、半鬼の身体能力や再生力は他の吸血鬼より劣っています。また、日光が致命的な弱点にならない、という半鬼だけの特性もあって、努力すれば人間社会で生きてゆくことも不可能ではありません。しかし、半鬼といえども日光を浴びたり、教会や神社仏閣などの聖域に入ったりすれば体調不良に陥ります。また10代のどこかで成長が緩やかになり、普通の人間の2倍から3倍の時間を生きることになります。そのため、ひとつの場所に定住せず各地を転々とするか、“仕事”の多くが夜に行なわれる裏社会や、吸血鬼のコミュニティに属して日の当たらない人生を歩んでゆく者がほとんどです。

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